もう四月

四月バカなんていわなくなったし 死語かな

ケタケタ笑うようなうそもいわなくなったし

誰かの口から聞くこともなくなった

よし 言ったろかと張り切ってみたが出てこない

そういえば昔 笑い袋というのがあったっけ

ボタンを押すと「おっほおっほげらげら」止まらない

ついついつられて笑ってしまって 親に叱られる始末だった

買ってくれたのは親なのに・・・これがそうか

このごろよく両親の夢をみる

当然のことながらいやに若い 恥ずかしくなる

ちっとも目を合わせることもなく

服の居ずまいをなおしてくれたりする

ありがたやありがたや

四月 新しいセーラー服を着て和服の母と撮った写真

靴のゆるさやカバンの軽みまで思い出す

そして母の着物の樟脳のにおい

そういえば私はバスに酔う子供で気持ちが悪くなると

母の着物のたもとに顔を入れてがまんしていた

酔い止め効果があったのだろうか たんなる甘えだろうか

母と子の思いでは時代でもって姿を変えているな

おい 太郎次郎 おまえたちすっからかんに

忘れちゃったんじゃないでしょうね 四月バカ





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