放っておけない質・・・

早めに用足しに出かけ帰り道
カンカン照りの道にティッシュ箱の一回り大きめの段ボール箱が落ちていた
それにはS川急便の送り状がついていて
配達途中荷台から落ちたものらしかった 少しひしゃげていた
重くはないがかさばるバックにそれを拾い入れて帰宅


さて住所は近い しかし郵便物ではないから届けるのもまずい
フリーダイヤルがあったのでかけると
ここからでは地域外だと機械音声・・・
さりとて大阪まで電話料金をかけるほど親切でもない
パソコンで近くの営業所をさがしてもなかなか電話番号がみつからない
やっと「問い合わせ窓口」を見つけて事情を話す


暑さでげんなりしたような声の受付係さん そうでしょうねぇ
はっとしたようにてきぱき応えてくれた
夕方チャイムが鳴って「S急便の者です」それが女性!
たくましいお兄さんが来るものとばかり思っていた
近頃はゆうちょ銀行もクロネコメール便も自転車やバイクで女性が
ごくせまい地域を小回り配達しているのを見かけるが
そういうことだったのだ


この炎天下 大変な重労働である
取りにみえたのは私よりも年上の方とお見受けした
「ありがとうございます これお礼です」とビニール袋を差し出すので
固辞するが「いいえいいえ ほんとうに助かったのですから」と
それはもう汗だくで 安心した気持ちが伝わってきたので受け取った
中にはビールが2缶 自腹を切ったのだろう
それでも荷物の紛失はたいへんな事になるのだから
その方のお気が済むならとちょっと複雑な思いではあった


郵便物なら事情を書いたメモ紙を貼り付けてポストに入れれば済む
メール便や小荷物は困る


夫が「あなたは親切な人だねぇ」と云う
そういうことではない
親切でも優しいのでも無い 見過ごせないのだ
イヤな気持ちになりたくないだけのだ


ニッパーとペンチで手作業しながら
こんなに楽をしていいのだろうかと反省をした
どうしてここまで思いつめるか そういう質だもの





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さて ショックなニュースがあった
薬の副作用で会話が成り立たなくなっていたという科学者の悲運
ろれつがまわらなくなったり 声がしわがれてでなくなったり
そういうことは私もあった 副作用とは思わずにいた
真っ暗になったのだなぁ 寄りそう人もなく孤独だったことだろう
しかし実行してはいけないのです
帰ってこれないのですよ
生きぬいて病気で苦しむ人の役に立たねばなりません
明晰な頭脳は世俗の圧力には耐えられなかった 
それはしかし逃げの振舞いであります








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