別の顔

「ごめん下さい 先生」
ドクターはびっくりしたお顔をなさって
夫に「奥さんはいつもこんなふうな方なのですか?」と訊ねた
「はい そうなんです」


いや 驚いたな 別の人みたいだ
私は言った「EPOMさんは優しいね」とよく言われるんです と
三人で笑った


お薬が効いて本来の私なのか演技派の私なのかが出演して
めでたしめでたし。。。


私の中の私以外の顔をする者 そうさせる者の力
つくづく怖いと感じた
お向かいの馴染みの古書店でお喋りをして薬局に寄って
待ち合わせの夫のところに行ってと


久し振りにランチしておいしかった
でも少ししか食べられない
広い窓から駅前を眺めつつ ホッとしていた


私の別の顔を鏡の中に見出すことはできない
しかし人には見える これは怖い 不気味なり


でも優しげな私の顔になったらしい こんにちは
いつまでもこうしていようね EPOMさん






               🌺

つぶやき

 この頃 写真を撮る気がしない
 花を見ても眺めるだけ 梅の香りはほんのりしていい
 水仙はしゃがんで花の顔をもたげてかぐ あぁ水仙だね
 沈丁花のつぼみもふくらんできた とても楽しみ


 メダカの水槽の水を毎日半分づつ入れ替えながら
 元気だね〜っと声がけする
 

 今 なにか降っている気がしてカーテンを開けると
 白い月が煌々としていた 今日は晴れなんだ


 世界で何が起きようとも 月日星の存在は太古から変わらない
 小さな人間の怨念も欲望も月と太陽の下では
 ひたすら虚しく愚かしい


 今日はクリニックの日 ドクターがご主人と一緒に来なさいと仰ったので
 うちのちょっと鈍感なご主人様はついてくる
 私よりもどんなにか冷静沈着かよく解る


 もっと早く寄り添ってくれたらよかったのにね
 ちょっと遅いよとつぶやいてみる
 しかし独りの戦いだったのだ
 悩みぬいての今がある
 きっと必要な月日だったのだろう


 ものは考えよう
 

 テレビのニュースは私の内なる怨と共通していて
 それはそれは恐ろしくて
 私を底の底の澱まで連れて行って溺れさせるところだった
 ラジオのFMで音楽を聴きつつ過ごした
 救いだったな
 逃げるようで気がひけるけれど
 自己を守るために防衛した 防いだ ロックアウト


 気強くいなければ優しくもなれないもの
 雪国でホワイトアウトも経験した
 半年の鉛色の空の下でも生き抜いてきた私じゃないか


 がんばれがんばれ は〜い そうします



        





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