義父の孤独

二月十六日に義母が逝ってから五カ月になろうとしている
義父は頑固の権化のような人だ
私たち夫婦は結婚当初 同居していたのでつぶさに見ていたわけだ
義母を大声で怒鳴る 思い通りにならないと怒る・・・
私は義父の横暴さを嫌っていたし 
何も言い返さない義母をもどかしく感じていた
義父は養子であったから 頑張ったのかもしれない
義母はかげで私に「あたしが戸籍筆頭者なのにね」なんて言っていた
しかし突然妻に先立たれ間もないあの大地震である
義父は食欲をなくし「なんぼにも食えん・・・」と箸を置くようになった
テレビを見ていても話す相手が居ない「こんなに淋しいものとはな」
夫は言った 夫婦の在り方というものは
子供とはいえなんら批評はできないものだと
義父は急激にやせた 病院に行こうと言っても聞く耳をもたない
妻と同じように死にたいと決めているかのようだ そうなのだろう
たびたび訪ね話しかける
私は週一で絵葉書を送る
スコッチハウスの花柄のシャツを送ると
「お母さんかい シャツこういうの大好きなんだ すぐ着たぞい ありがとうな」
私は急にいい嫁ぶってこんなことをしている
そして義父の喜ぶ声を喜んでいる
何十年かけて解り合う心
おじいちゃん 十五日にはまた行くからね
おばあちゃんの新盆の支度をしましょう。