友達

津波の被害にあった友達から電話があった
心配していた 待ちわびていた連絡だった
テレビニュースで「おばあちゃんを探しています」と言って映っていた友達
何年も会っていないけれど声ですぐわかったのだった
「EPOMさん 私です」何と答えていいのか解らなかった
「おばあちゃんは?」続く沈黙に「そうなの」と受ける
「あの日ね たまたま会社にいたのよ いつもなら帰りのバスの中だったはず
もう家に着いていたかもしれないの 歩いて家の方向に歩いて行ったら
むこうから女の人が泣きながら走ってきたの どうしたのか訊くと
津波がそこまできたから逃げて来たの 一緒に逃げましょう それで私は
避難所をおばあちゃんを探して歩いていたのよ」
凄い話だった・・・
「でもね おばあちゃんのお葬式もできたし 家は水を一回かぶっただけだったから
荷物は無事で親戚の借家に住まいしているの 地獄のようだったのよ」
そして彼女は言った「EPOMさんにいいもの教わったと思ったの お人形作りよ 今作っているの
作ってはご近所にあげて喜ばれているの ありがとうね」
私は驚いてしまった どんな状況なのか想像に難くない・・・なのに・・・
力を出そうと勇気づけられた 傷ついた彼女に力づけられた
それにしても私の人形作りが誰かの心を和ませているなんて
思いがけない喜びの言葉だ
ありがとう ありがとう。