訳ありコバ

名前はコバ 十七歳 人間の年齢にして84歳
出身地 沖縄県
首里城の門のところで拾われる



ある日太郎が猫と二人でふらりとやって来た
実に十四年ぶりの帰宅であった
あれこれ拗ねて考えて帰ってこれなかったのだ
こちらも受け入れられなかった
コバは貨物として飛行機に乗せられ
当時十四歳の身には堪えたであろう寒さ
太郎の都合はこうである 結婚したい人ができた
まあ有り体に言えばこうである
元カノと一緒に育てた猫を連れてお婿には行けない
で「ここにおいてよ」
お願いしますでもなくコバはおいていかれた
もしやコバは二度捨てられたことになりはすまいか・・・
かわいそうで愛しくて・・・
最初は先住のりぼん、みけとはうまくいかず
押し入れで目をらんらんと光らせてシャーっと繰り返していたが
夫によくなついた 枕の隣で眠る毎日だ
カリカリにはにんべんをかけるまで見上げて待っている
利口で奇麗な目をした猫である
体は大きく威風堂々
ずっと一緒にくらしてゆこう コバ