白鳥はかなしからずや

       

         この道を急いだ 地震で割れた岸辺の無残 
         ここは郡山の実家近く 善宝池

         遠くの白鳥に声をかける「ホ〜イホ〜イ」
         声が出ない 何度も声をだす 「ホ〜イ ホ〜イ」


       

         どんどん近くにやってきた 羽ばたいている!


       
     
         な〜んだ何にも美味しいものはくれないの?と
         羽づくろいを始めた
         ごめんね 来月はきっとパンを持ってくるからね


   
「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」


女学生の頃 先生がこれ歌える人いる?と訊いた
大人しい一人のクラスメイトが手を上げて
静かに歌いだした 美しい哀しい旋律
教室中がシンとした 透き通る声だ みんなが涙ぐんだ泣いたポロポロ
歌い終わって しばししばし 大きな拍手がおきた
今私も歌える それほど自然で簡素なメロディだったから 
「幾山川超えさり行かば寂しさのはてなむ國ぞけふも旅ゆく」若山牧水
これも同じ旋律で歌う