すみません

突然出かけたので 次郎には何の準備もせずだった
猫のエサが届く予定だったので 受け取ってくれるよう
ドアをノックして事情を話すと「はい」と声がしたので安心・・・


帰ってみるとドアに不在伝票が三枚・・・
テーブルに手紙があった

「どうしても猫のエサを受け取ることができませんでした
 すみません 父母 疲れたでしょうから無理して出かけないで
 休んで下さい 食べ物はドアのところに置いてもらえると嬉しいです」


チャイムが鳴るたびにドキンとしていたのだろう
出来ない自分を責めていたのだろう
冷蔵庫にあるもので何か作って食べ ご飯を炊いておいてくれた
お風呂も洗ってあり 掃除もしてあった


そうね 宅配の人にドアを開く前に父母に顔を見せるのが先だった
猫のエサはぎりぎりで足りていた 


太郎からは心のこもった文面の電報が届いた しみじみとした文字に
彼の家族の気持ちがにじみ出ていた


さて 私はいつものように出かけ歩いた
いつもと違うのは本を読めなかったことだけだ
なぜかなあ・・・物語よりも凄い現実に直面したからだろうなあ