「にらまれちゃったからさ」

なにしろコーヒー一杯で一時間から一時間半は読書する
そのコーヒーショップはざわめきがほどほどで心地よいのだ
しかし 昨日は実に滑舌の良い声の通るオジサマが携帯電話で
「はい あぁ 私です 用件が四件ありますのでお願いします」で
始まったがいいが一件につき話が長い
でもやっと三件終わって四件目で「あぁ これで終わりか」と・・・
そして「では宜しくお願いします そしてね・・・」と延々と続く話


こういう方をお店では「あのう 他のお客様のご迷惑になりますので」と
注意していたのだが なぜだかそれは為されなくなったらしい
私はほとほと参ってしまい振り向いた
そしたらオジサマと目があった!
せっかくなので キッとにらんだ 垂れ目でも睨むことはできる


そしたらである
そのオジサマ 高らかに言った
「今ね長々話してるものだから 向こうの人ににらまれちゃったからさ
 これで切るよ どうも申し訳ありませんね ではまた」


いつの頃からか 若くなくてもこういう方が男女を問わず
じゃんじゃん出て来たと感じる
ここはお宅のお茶の間じゃないんですからね
仕事場じゃないのですからね と言いたくなる
どうしても話さなければならない時は電柱のかげとか
ビルの角とか そんなところで手短にと心得る


あとはメールで簡潔に済ませましょうよ
夫に言うとアハハと笑って「そういうふうにしたいのよ」と
電話で喋るのではなく「電話に喋る」という機種も出たらしい
ますます ヘンテコリンだらけになるではないか


しかし 私のにらみは効いた まあ 用件は終わっていたからね
私はお店の人にいつも長居すると背中をにらまれているかもしれない