「私はパソコンだ」

黄昏時 暮れゆく空が勢急に暗くなり私は気を失った。揺り動かされ呼びかけられ通電され、たよりない指の主がキーボードの上を彷徨ったが、それもそれなり止まった。私は壊れたものと捨て置かれたようだった。幾日経ったか、見知らぬ、いや、懐かしい家ではない店舗という場所で私は目を覚ました。しかし「私は誰だ?」なにか重い病気であるらしく、しかし肩に食い込む荷をおろしたような、身に着ける服がないような、もしくは道に迷って途方に暮れているような…そんな気分でいながらも何やら施工され丸い光るものを差し入れられ吸収せられ、走馬灯が明らかに逆回りして私が誰で何なのか呼び起こす力となった。どうやら私はEPOMのパソコンらしい…私をこよなく愛してくれるEPOMなる者の飼い猫のようなもの、そのような者であった。