山崎方代
冬になるとなぜか山崎方代を思い出す
甲府生まれで放浪し晩年を鎌倉で過ごした歌人
口語の歌が悲しく可笑しく淋しく深い
そなたとは急須のようにしたしくて浮世はなべて嘘ばかりなり
学校を出ていないゆえ一休さんを一ぷくさんと今も呼んでいる
わたくしが死んでしまえばわたくしの心の父はどうなるのだろう
死ぬ程にかなしいことも二日一夜でわすれてしまう
極貧の農家の生まれでたくさんいた兄弟はみな死に
父母が「死にほうだいだ」と言ったことから
方代と名乗ったという
戦争で片目を失い残った目は弱視
鎌倉ではインテリの歌人たちに評価されていたという
あげてみれば吉野秀雄 因みに彼の妻は夭折の詩人八木重吉さんの奥さん
とみ子さんは重吉さん亡きあと再婚 吉野の子供たちを育て上げ
つい十年ほど前までは御存命だったはず
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