立ち見の漫才

テレビは自分ではつけない
休み中の夫はテレビをつけて本が読めるという特技があるが私は無理
通りすがりに気に入れば見るが素通りが多い
落語の一言が耳を捉えた 身につまされて立ち見した 面白かった


筋はこうである
父親が独りでいるところに高校中退して家出した娘が
15年ぶりに帰ってきた
それが性別が変わっているものだから「誰だ!?!」
「けい子だよ 今は学と名乗ってるけど」(けい子と学)
父茫然 その上4千万の借金があるという
そして結婚して、それはニューハーフで二人のあいだには子供が居る
父親は次々にきかされる言葉の連発に戸惑い驚くこともできない
「お母さんは?」 あぁ?近所の酒屋のオヤジと今朝駆落ちしたよ
「今朝だよ!」 どんな落ちだったのか忘れたが笑っちゃった(^O^)/


我が長男は拗ねむくれて14年間帰宅しなかった
その間引っ越しているから我が家が解らない
葉書1枚の「帰る」の知らせ 駅まで迎えにいくとニコニコしている
ケージには老猫コバがいた 貨物扱いで寒かったことだろう。
家に行く道々裏路地で「どうしてこんな不便なところに家を買った?」と
訊くので「おまえが帰って来れないようにさ」と言ってやった
だって私は死んでしまおうと思いつめるほど心配し悩んだのだ


しかし漫才は面白かった
こんなふうにどんなことでも笑いのめしてしまったら生き良いだろう
今になって思うのだが 如何せん私は若かった
探偵社に電話して息子の動向を調べてもらおうと思った
下校してきた次男が「そんな事したら一生お兄ちゃんに会えなくなるよ」
説諭され泣きそうになって感謝した


やれやれ時は経ち長男は佳き伴侶を得た
彼にはもったいないような人だ 感謝あるのみ
悪い事は続かない 良い事が待っている人生だ


長文にてお読みいただきありがとうございました
なに 途中でやめた? ならこの感謝の文は書かずともよかったか




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