待合室で読んだ

待合室の本に目をやると曽野綾子さんの名前があった
曽野さんは最近は小説を書かれないから遠ざかっていたが
週刊誌の記事の見出しが表紙にあったので開いて見た
クリックしてお読みいただきたいが周知のことだろう


       


       


       



記事のなかにぜひここに引いておきたい個所があったので書き記す


20年ほど前に東京山谷のボロアパートに3人の修道女たちがいた
彼女達は「イエスの小さな姉妹の友愛の会」という少し特殊なカトリックの修道会 (シャル・ド・フーコー神父の遺志を継いで創設された会)
積極的に布教を行わない代わりにそれぞれの国で一番貧しい土地に暮らし
最も人のいやがる仕事につき、わずかな収入を得てその地に根をおろし
地域の人々の相談相手になる
その中の一人がどうしても日本国籍を取りたいと言ったという
なぜかというと暴動や戦乱が起きた場合に異国籍であると
強制的に自国に送還されてしまい自分たちだけが命が助かってしまう
それを憂いたのである
「国籍の意味するところ」とはこういうことであると。


曽野綾子さんの筆致はお若い頃とちっとも変らず冴えていらしゃる
私の生きる指針であった数々の小説の背表紙をながめて・・・
それは色あせているがいたるところ文章の深み悲しみ諦観を諳んじていて
私は心から感謝の想いを抱いている。





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