私が私であるという事


        


住民票と戸籍謄本をとりに市役所に行った
私は亡母の言いつけで運転免許はない
だから顔写真入りの証明書はパスポートだけである
10年前のじゃしょうがない・・・保険証でいいはず


住民票は「あとでお聞きすることがありますのでお待ちください」と
名前を呼ばれ窓口で「お子さんと御主人の名前と生年月日を」
それはスラスラ云えた。


戸籍謄本では ビックリ! 驚いた!
「お父さん お母さんのお名前を仰って下さい」
私は絶句 「私のですか?!」
20年以上前に逝った父母の名前を訊かれるとは思わなんだ
「○○杜夫、〇〇萩子です」 


私は30代始めに母が逝った時 そして父も逝き
私が私であることを証言してくれる人はもういなくなったのだと
いささか孤独に感じたのだった


戸籍謄本には 全てが記録されていた
それは 不思議な感覚となって 私をつつんだ
思い出の中に在るだけではなかったのだと


これはある種 幸いなことなのだとつくづく感じた



        



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