思い遣りということ

 心がけて生きてきたことだった

 
 思い遣りをもって人と接すること

 
 けっして不快感や怒りを顔に出さず


 それは亡母の教えであった


 私はそれを守り 怒ることを心におさめてきた


 幾層にもなったその地層をどうすれば均すことができるのだろう


 流してしまうことができるのだろう


 思い遣りと覚悟が必要だと助言してくれる友がいる


 誠にありがたい言葉である


 生涯にこのような厳しい言葉をもらうことは まずあるまい


 私は恵まれており それについて深く考える時を得た


 「戦争のようだ」それが実感


 私は兵ではない しかし銃を持っているかのようだ


 あるいは銃部分の壊れた銃剣を持っている


 捨てるべきなのだが 手に張り付いて離れない 拳は硬い


 左手の役目がきた 右手と左手はお互いを知らない


 伝えねばならない 誰が伝えるか それは私







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