ヤマアラシのジレンマ

 わたしの針は長いもので 相手に刺さりやすい


 致し方なく距離をとる


 針はアンテナでもあり 察知が早い


 時々見誤ってチクリグサリとなってしまうが ごめんなさい


 ごめんで済まないこともある


 ショーペンハウエルのとなえた言葉


 傷つけないように相手とのよき距離をとる


 混んだ電車ではスルリと針を寝かせて立つ


 しかしこうも人口が多いと針を寝かせる間もないこともある


 そういうヤマアラシ人は多いのだ 思いのほかの人口密度


 針の先をちょっと折っておこうか


 いや大分歳をとってきた 折るほどでもないか


 ほんのたまさか便りを出す


 「あの時のおケガのその後はいかがですか」と


 いえね 私も痕が残っているんですよ


 思い出さぬようにしています


 でも無理やりに顔を出すことがありますのよ


 やれやれ・・・やや憂鬱です







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