友からの電話

 私にはあまり電話はかかってこない
 まあ 携帯電話メールやパソコンの時代になったせいもあるが
 こころして葉書、封書、カードを手書きしている
 それは昔から変わらない習慣だ
 12月に入ってクリスマスカードを出し始めた
 友人達の顔を思いながら近くに暮らした頃を思い出しながら
 それは便箋一枚程度の文字数になる
 書きたいのだ
 ありがとうとメールをくれる友がいて
 年賀状で返事をくれることもある
 

 古い友人が電話をくれた
 もう10年も会っていないのに声は変わらず元気そう!
 辛い人生体験をした彼女ではあるが 当然がんばり乗り越えたのだ
 懐かしく鎌倉に遊びに来てくれたことや
 遠い夫君の任地での思い出を語り 飛んで行きたいと言う
 でもね もう昔に住まいしたところはすっかり変わってしまって
 行ってがっかりのこともあるのよとのこと
 

 夫がリタイアしたら訪ね歩こうなどと考えたこともあったが
 記憶の映像で充分に満足しているのがいいのかもしれない
 それにしてもどうしてこうもこの国は景色を変えてしまうのだろう
 山だって移動してしまう
 今にかぎったことでもない
 きれいな浜に行こうと運転してくれた友が 叫んだ!
 「あれぇ!!! 砂浜が無くなった どこにやった!」
 

 せめて字を書こう
 下手な字なれど、走り書きなれど 心をこめて書こう
 一年に一度ならず 思い立ったらとバックにはいつも
 葉書と切手を入れている
 駅ビルのベンチでだって書ける 100円コーヒーを飲みながらでも
 読書に疲れたら書く 別の作業は目を休めるという不思議


 書いてくれたから嬉しかったとの友の声が耳に残って心地よい






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