カラスとマグロ


カラスが何十羽も死んだ
丈夫そうなカラス
何でも食べてるカラス
ヒチコックの「鳥」を思い出ださせるカラス
利口なカラス
悪いものは食べないはず ゴミは腐ってたとしても平気なはず
それがウィルスによる食欲不振の餓死だったという



カラスなぜなくの カラスは山に可愛い七つの子があるからよ
かわい 可愛とカラスは鳴くの かわい可愛いと鳴くんだよ
山の古巣へ行ってみてごらん 



昔の水族館は暗くてジメジメしていたけれど好きだった
江の島のクラゲばかり見に行っていたことがある
改装されたらさっぱりつまらなくなった
だから行かない


どこの水族館?
マグロを飼っていたのですって?!
あの大海の回遊魚を?
泳ぎ止まったら死んでしまうといわれるマグロを?
水槽で飼っていた? 


これもウィルスで死んでしまった
ストレス 場違い 人間の傲慢


いったいどれほどの強化アクリルの厚さだったの?
人の目にさらされライトに照らされ 嫌だったよね


鮪は私は
食べないし カラスはもちろん食べません


身近で遠い二つの生き物
人間の傲慢が殺した
誰が水族館でマグロが見たいと望んだの?
お客を呼ぶための企画をしたのは誰?


お刺身にして食べることのほかに虐待をしていたのだ
カラスはカラスの勝手にしても憐れなり


大海に生きるものを人間の思うままにはできない




    ちょうど水族館が舞台の小説を読んでいたところだったから
    ライブのように怖かった
    曽野綾子さんの「円形水槽」というのも昔読んだ
    水族館の裏方 飼育係の苦労と哀惜


ここにも涙が流された 水槽の温度管理 見回り 魚への愛情



これらの出来事はいま世界中に蔓延する
大国の傲慢とよく似ている
人間は愚行を繰り返す 懲りない面々は世襲され尽きることはない




             <*)) >=