今日は立春

 夕べは「ひたし豆」を食べた
 アオバタマメのことである
 一晩水につけて翌朝たっぷりの水で煮る
 うっかりすると柔らかすぎてしまうので気をつける

 口の中に「福は内 鬼も内 すべて内」とむしゃむしゃと
 食べても食べても飽きない
 小鉢ひとつくらい私でもいける
 それほどおいしい豆の味
 塩もなにも味付けせずに ただ豆を味わう


 今日は立春
 思えば上島鬼貫の「そよりともせいで秋立つことかいな」のもじり
「ぽかりともせいで春立つことかいな」の寒さではある
 しかも春の花粉は飛び放題 なんとしょうか


 さて「鬼も内」には意味がある
 多くの家から追い出された鬼がいたるところで
 孤独に耐えきれずに思いがけない悪さをせぬように
 我が家においてやるのだ ここにおれ なにもせぬ
 鬼にだって親切にすれば大人しく猫のように居付く
 たまには知恵を貸してくれる


 鬼も福も追い出したからこのところの悲劇がある
 自分さえ良けりゃいい そいつはねえや
「犠牲」という字の胡乱なこと
 一家で豆まきをすることなぞ後藤さんは考えもしなかっただろう
 だからこうなった 明晰な眼差しを消したのは誰?
 我が国のあの人でなし 傀儡


 
       春なれば懐ふかく刃もて ゑ


       角目さえ足刺すものと覚悟の歩 ゑ


       紅梅のやがて咲く血の冷えゞと ゑ


       日本語の訛り英語の黒覆面 ゑ

       
       
       
       君生きて春を微笑み子等抱け ゑ






               ・