慎司郎兄と思い出話

 「お前はいったいにして本の読み過ぎじゃないか?」
  手紙は8枚の便箋 読むのに骨がおれたようだ。


  だいたい小学生の時に高校生の俺に
 「慎ちゃんこの字が読めないの?」と言ったという


  人は言われたことは憶えていても
  言ったことはおぼろである
  きっと私ならそれくらい言っただろうなという程度
  それも小さい声で言ったのだと思う


  秀才の兄だったけれど 気分屋
  学年で1番の次は80番になったりする


  父から次兄への手紙には驚愕した
 「君だけは別だと信じたい 父より」
  このような(お褒めの言葉)ほかの誰ももらっていない
  早速コピーして姉たちに送った。


  容姿端麗とは男子にも言える
  今は白髪のお爺さん
  でも子無しだから若い


  話すのに疲れて電話を切ろうとするが
  兄は話し続ける
  うんうんと耳を傾ける


  そんなわけで寝坊してしまった
  起きたら夫が消えていて
  洗濯機も止まっていた
  干してあったらいいのにな・・・
  でも今日は雨


  春雨じゃ傘をさしていこう





                ☔