猫の本棚


     


先日「おすすめ本」のお題でのyuriさんからの推薦図書を読んだ
松村紀代子著「猫の本棚」 全編猫話は当然
書きぬいたところをご紹介しよう
実に知的な本だった yuriさん ありがとうございます




祖父の頃長く飼っていた猫がいて二三羽の雀を狙って失敗 すると
猫 子供の言葉で 「残念なり」 と
畜生の身で物を言うとはあやしい奴と捕え殺そうとすると
猫 「物を言ったことなんてないのに」 と
以後祖父は猫を飼うことはならんと言い置いた


黙阿弥の長女 糸の歌
「十九年わづか二日の初夢を見果てぬ猫の名も太郎月」



1840年料金前納制度に郵便切手というものを考案したのは英国だが
そのロンドンの郵便局が1868年三匹の猫のえさ代として週二シリングを
郵政省に請求した のち<キャットシステム>と名付けられた制度で
つまり猫がネズミ駆除担当の公務員として奉職したのである
ただし予算は半分に削られ周一シリングだけが認められた
「残りはネズミでまかなうように」というわけだ


ある日漱石が俳句の本を読みながら転げて笑っている
何がおかしいかと尋ねるとこの句がおかしいと示した

    「両方にひげのあるなり猫の恋