生きのびるからだ

南木佳士著エッセイを読んだ。帯に「最後に信頼できるのは、からだのしたたかさなのだ」とあった。33篇のエピソードの中に印象的だったのは二月の信州での老患者の言葉「こんなにさびい日ばっかりつづきゃあ、凍み死んじまうよ」…… さて義父を思った 三月二十日とはいえ関東の二月に相当する気温 父は風呂の湯加減をしっかり確かめゆったりと入る人だった きっといつまでも温まらないからだを不思議に思いながらスイッチONにしたのかもしれない からだは尚も温まらず心不全に至った 逝く定めの日だったのだと 一カ月と二日経って思った。