思い出

或る時 我が家は仙台の広瀬川のほとりに住まいしていた まだ次郎は登場しておらず、まあよく喋る太郎が私と夫の愛情を独り占めしていた???いやいや私は初めての子育てに四苦八苦し出張ばかりで不在の夫をひたすら待ちわびるという体たらくだった。そんな折々に母と姉二人が訪ね来ては心の助けとなってくれた 台所の窓からタクシーを降り何ごとかさんざめきながら、お土産を両手に下げて彼女達は近づいて来て笑顔を見せる 私は「三婆がきたぁ!」と今に思えばけしからぬことをつぶやきつつ迎えた……幸せな、なんと幸せなひとときであったろう。私は二十代、姉たちは四十代ほど母は六十代後半 皆若く元気だった。そして時は流れた 春の日差しの中の思い出は私の立場と役目を変えながらさらさらと、さらさらと「ゆく川の流れはたえずしてもとの水にあらず」ね!