カツオがマスオになった話

母の日の夜にお嫁ちゃんから電話があった
こ〜りゃ電話で済まそうって魂胆かって思ったらさにあらず
「妹と二人で選んだのでちょっと遅れてしまいましたが待ってて下さい」
優しい声でこのように言う
実にジーンとしてしまい「そんな心配はいらないのよ」などと
あれこれ話すうちに 太郎はね幼稚園の時の「お母さんの顔」の絵以来
なにもくれなかったから「私はあなたの姉なのね」って言ってたのよ
っとなったら 傍にいる太郎に即伝え すると すかさず電話に出てきて


「あ僕 マスオになったカツオです」


私は彼をこのような頓知人に育てた覚えがあるから嬉しくなる
長男をお婿にやってもただ安心なだけの親である
お家賃の心配はないし何かという時には相談できるお父さんが居て下さる


プレゼントが届いた
あけると優しいメッセージとともに
私好みのピンクとレースのデザインのショールとアームカバー!
羽衣みたいで思い出した  四歳の太郎に暗誦させた一首を

 
   天つ風雲のかよひぢ吹きとじよをとめの姿しばしとどめむ


天女は久遠の命をもつのだろうから私が乙女だって不思議はない うふっ
下の句の「しばしとどめむ」の「とどめむ」がカッコいいと言っていた
サザエの弟カツオはいつのまにか南国にマスオさんとして渡って行った
ありがたい ありがたい 二人どうか健やかに仲良くと祈る