ちょっと・ ショート ⑥ りぼんのつぶやき


        

あたし りぼん
ビックリしないでね あたし もう死んじゃうんですって
26日までは元気だったの
急に具合が悪くなってEPOMお母さんが病院に連れて行ってくれて
血液検査をしたら ドクターが
「とても悪い数値です 人間なら人工透析を要する状態です
 このままだと数日 入院して点滴投薬すれば半年くらいです」と
こう仰った お母さんの顔は紙みたいに白くなって震えたけど
ドクターの言葉をかみしめていた
夕方から夜8時まで点滴してもらったけどお家に帰りたかった
お母さんが迎えに来てくれて嬉しかった

7歳かと思ってたけど あたしカルテには8歳3カ月ってかいてあった
人間なら50歳くらい ちょっと若い 更年期の女性ってところ


あたしは良く覚えていないけれど 気がついたらお母さんと一緒だった
小さかったから3時間おきにミルクをつくってお母さんが飲ませてくれた
いっぱい飲んだ お母さんは段ボールで迷路や爪とぎを作ってくれた
落ち着きのないお母さんだから お昼寝はお父さんの膝が安心だった
二つ季節が過ぎてみけっていうチビの妹がやってきた
全然似てない姉妹だった 挨拶はしたけど仲良くはしなかった


次郎兄ちゃんが帰ってきたときはあんまり痩せていて驚いた
でもとっても可愛がってくれた
それから どうしてだか太郎兄ちゃんまでコバを連れて帰ってきた
コバは大きな猫で最初はシャーシャーッと威嚇していたけれど
やがてあたしたちは女3人静かにくらすようになった
一定の距離をおいてね


もうご飯が食べられなくなって三日目の朝
でもどこも痛くない すこし疲れてるだけ
お母さんと次郎兄ちゃんは優しくしてくれる
お父さんは会社から携帯メールで「りぼんはどう?」と訊いてきた


あたしはお家が大好きだから 病院にはいかずに居たいと思ったし
みんなもそうしようって話し合ってた


時々EPOMお母さんがブログであたしを紹介してくれてたみたいで嬉しい
でももう時間がないみたい とってもだるいの
お家で眠りたい お母さんお父さん次郎兄ちゃんのいるお家で
静かに眠りたいの

あたしのこと忘れないでね りぼんよ りぼん