ネジの話

コーヒーショップで本を読んでいたら
不思議な会話が耳に快く聴こえてきた
振り向くと70代と思しき二人が掌に機械の一部分らしいものをもって
ひたすらネジの話をしている
専門用語が多くてなんだか解らないのだが
その一定の話すリズムと声音がなんとも心惹くものなのだった
BGMみたいに私の読書を進めてくれて
耳を傾けていても本の内容はちゃんと解るという不思議な時を過ごした


もしや岩波の「零の発見」のような「螺子の発見」という本があるかと
帰宅して調べたがネジの起源は定かでないようだ
ネジ ラテン語でビス


ネジ溝をらせんに上に行くように物を考えるイメージが好きだ
そんなふうにいつもいるように思う
だからあの会話に心地よさをもったのだ
例えば昔は良く学校で行われた知能テストのような感じ
私は得意だった ネジのような脳の働きがあるように思える


因みにテストの後は必ず職員室に呼ばれた
いかに勉強ができなかったかが分る
「あなたはもっと出来るはずですよ」
そんなことを言われても困ると黙っていた


魅力あるネジの会話はいつ果てることなく続いていた
名曲喫茶みたいだった






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