だれも知らない小さな国へのいざない

佐藤さとるさんの物語にまたであいました
子供時代にとりこになっていたコロボックルのお話の作者の練られた本
「天狗童子」です


      


これはもう日本史の好きな方は大喜びでしょう
物語の時代は十六世紀初頭の関東 戦国ファンタジーです
からす天狗がとびまわっているのです


鎌倉の北のはずれの円覚寺東慶寺までは山之内街道をはさんで
隣の山となります
そして南のはずれの光明寺と登場人物も天狗も深く関わります


佐藤さとるさんの「だれも知らない小さな国」「豆つぶほどの小さな犬」
コロボックルたちとの交流のお話は印象深く心に残っています


「天狗童子」は約40年ものあいだ佐藤さんが言うところの
「長いあいだ背負っていた荷物のようなものでした」とのこと
編集の仕事も最後ですと原稿をもって訪ねてきた編集者の方の話に
「正直いって私は半分うれしく半分困りました」と・・・


この本は2014年に「赤い鳥文学賞」を受賞しました


佐藤さとるさんは1928年生まれの84歳
物語と共に読者の一人として
長いことお世話になった先生のような気がします
子供たちの心を幸せにしてくれたと思います
「天狗童子」はもしかしたら日の目を見なかったかもしれなかったのです
物語を書く人と編集者との信頼関係と情熱を強く感じます


      


空の色は十六世紀にもこのようであったでしょう
暮れ方からフクロウの風を装って飛んでいたでしょうか





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