かけがえのない宝物

       




    昔かけがえのない宝物を授かった日


    太郎が私のかいなに抱かれた日


    あの何ものにもたとえようのない愛しさは


    過ぎし日に変わらないが


    今は思い出の中にセピア色にくすんでいる


    妻を愛せよ わが身を愛せよ


    人に優しく 思いやりをもって尽くせよ ひたすら


    やがて二人の元に かけがえのない宝物が舞い降りるだろう


    その子を 愛しみ育てよ


    やがて去って行くまでのひとときを厳しく慈悲深く育てよ


    守られし子の幸いを祈り想えよ


    たくましく行く背中を二人静かに見つめる日まで


    吾子よ 愛しの汝よ






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