ちょっと・ショート ⑩ グレーテルその後

ハガキの書き方を知らないので それを教える授業が小学校で
なされているそうだ 例をあげれば
郵便番号欄には携帯電話番号を余り書きし
住所と名前を左右あるいは上下反対に書き
なかには名前だけ書けば届くと思っている子もいるらしい
これは携帯メールとインターネットの普及の弊害だろう
果たして私は習って憶えたものだったろうか・・・


今 読んでいる本から盗作描写するとこうなる
「いばらの荒野か昼なお暗い森の中に一人残された心地です
 ヘンゼルなきグレーテルであります」(男児の場合)


おそらく生涯でたった一度 主役を演じたことがある 幼稚園
ヘンゼルとグレーテル」のグレーテル役 「ぐれてる」ではありませぬ
ですから真面目にお婆さんを燃え盛る炉に突き飛ばしました 役!


事実わたしには二人のヘンゼル兄ちゃんがおり
頼りにならないし 便りも無い 
風の噂に聞けばカラオケで「ボクの妹」を歌っているとか
歳が離れているのでずいぶん大きくなるまで
「この二人は誰だろう」と思っていた 名前で呼んでいたものだからね


「人生をなめちゃいけないのだが、人生になめられちゃいけないんだ」
私を甘く見ないでね 葉書一枚書けないくせに

迷子にならないためにパンをまいてはダメ 木々の枝にハガキの
切れ端を刺しましょう あぁ お家には怖いお母さんがいるのだった

わたしは何処へ行けばいいのでしょうと悩んだ時代もあったけれど
大丈夫グレーテルは長じて魔女になり 物知らぬ子を待っている
お菓子をたんまり食べさせて太らせて煮込みにするのだ 大鍋で


なに?ヘンゼル? とうの昔に食べてしまったよ
ツイッターも無かったし暗い森の中だったからね


どなたか お返事下さいな お葉書で 住所は「暗い森」です
そうそう 郵便番号は 666−6666 


きょうは 怖くてわかんないお話でした ごめんなさいね。











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