長い一日

遥か昔に私が小さな手術をした時も同じだったのだろうか、母は傍にいてくれたな。だから私も同じ思いでいたのかな。大丈夫だよ、と娘と自分に言い聞かせる。でも息子の不安には硬いバリアがあって触れられないのが切なかった。沖縄時間というのだろうか、二時間遅れで始まって三時間半後に少し顔色をなくし、透明なマスクをつけられ、数本のパイプに繋がれて彼女ベットごと病室に帰ってきた。ホッとした。「お疲れ様、頑張ったね」息子の表情もゆるんだ。それも安心。目を合わせてくれた。太郎よ愛することは、すべてを引き受けることなのだよ。相手の痛みも不安も動揺も喜びも悲しみもね。父上と妹と親戚の方もかけつけた。皆さんとお話する機会を得たことに感謝。看護士さんに連れていかれる娘の頭をなでて手を握りしめ、術後の顔に話しかけ、長い長い一日が終わった。夫婦二人にして、後ろ髪引かれつつ病院を出ると満月があった。