電話の日

我が家の電話は基本料金程度である


かけない かかってこない 鳴れば何かの勧誘だ


それがその 昨日は都合三回


一回目は太郎が縁あってお世話させていただいた方の母上から


遠い沖縄の地で 何故出会ったものか


私の実家の近所の息子さんが亡くなり 母上と話してみれば


EPOMを知っているという 私はまったく存じ上げない


遠い南の島に流れゆき 独り親より早く去った青年


母上は私にお礼の電話をしたいと切望され


兄嫁姉から電話番号を訊いたのだと仰る


息子を亡くし 夫を亡くし 独り暮らしとなられたその方は


実に力強いハリのある声で懐かしい郷里の訛りで話されていた


息もつけぬ悲しみをどのようになだめておいでなのか・・・


世間は狭い 真心持っていなければと 心した



二回目は 義姉から


電話があったでしょ 電話番号おしえちゃってごめんね


いいのよいいのよ


お話できてよかった息子の悪行ではなく善行をお知らせ下さったのだもの


太郎は親にはにべもない口をきくがよそ様には親切で優しい


私は母を辞めて隣のおばさんになりたいくらいだ そう言って笑った


あなたの育て方が良かったんでしょ それは母親冥利に尽きる


実はそうではないのだけれど そう誤解されるのも まあいいか



三回目は 次姉との会話


自分が世界中で一番不幸だと思いこんでいる人だ


話す度にらちもない悲運を聞かされうんざりして


それをまるごと引きうける私が居て困る


どうやって消化したものか・・・澱となってたまっていく


柄にもなく叱咤激励した いや叱咤叱咤だった


姉は「生意気な妹め!」と悔しかっただろう 16歳上だもの


この姉もまた34歳の息子を亡くしている


その悲しみを刃物のように振り回す



なにもかも詳細省き 今日のアップ


    かにかくに電話というは切って良し ゑぽむ



        





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