次郎のこと

禁じられた遊び」が弾きたいばかりに


ギターを親にねだったり アルバイトしてお金をためて買ったりする


そういうものだったのかなあ 私たちの頃は


エリーゼのために」を弾きたくてピアノを習う女の子のように


私は聴くだけで充分だったけれど・・・


「習いたい」そう言って通い始めたギターレッスン


上達は早かったのだろう


知らない曲でも 傍で奏でられる音曲は 聴きほれるものだった


そして次郎は(エレキギター)でロックバンドも始めた


横須賀線のずっと三浦の先のライブハウス・・・


薄暗くて椅子も無く まったく場違いな所に


きっと同じように招かれた親と思しき人たちが


困惑顔でたたずんでいる


ある男性が「あのうここには招待されたんですが演奏するんですよね」


「はい そのようですね・・・」


始まった!


物凄い「音楽」という名のものかなにやら「騒音」


何番目かに次郎のグループ


髪を昇る滝のように立て化粧をした中に


ひとりフツーのシャツとGパン


むしろ目立って可笑しかった


すると当時の私と同年齢の女性グループのかたが


「ジロー! ジロー!!!」と呼ぶではないか


「なによ うちに子に」とムッとする


めくるめくライトの中で ほとほと疲れ果てて帰途についた


懐かしいなあ・・・







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