口と腹 あれこれ


金曜日は生協さんの配達日だから買い物はしない

冷蔵庫が空っぽ 

いつも午後2時には来てくれるのに 4時になっても来ない

5時になった・・・新人S藤さんの担当になっていたから

孤軍奮闘しているのだろうとは思いつつ 

白菜、ジャガイモ。ごぼう、にんじん、冷凍の油揚げで味噌汁を作るが

これじゃ夕飯の支度ができないと焦る! 不安! 気が急く!

6時になってやっと到着

(こんなに遅いんじゃあてにならないじゃないの)と思いつつ

「あら 大変でしょう 新入社員ですものね 頑張って下さい!」

私の口が言っている  信じられない



太郎が高校一年の時

毎朝起こす その度に不機嫌な顔をする

誰のための学校なんだ!

「明日からは起こさないからね!」そしてホントに起こさなかった

目を覚ました太郎は時計を見て「やりやがったな!」と

「はい お弁当」それをひったくって登校

次の日から自分で起きた だってすぐにお別れなのよ



二者面談があると言う 苗字の順だと最後のほう

W辺君 M沢君 Y本君等と「俺達あとの方だからゆっくり行こうぜ」

そんなことはないだろう

案の定 8時半に電話が鳴った (先生だ!)

「太郎君はいますか」

あのう 学校に行きましたが・・・

「何時頃に登校しましたか?」

いつもと同じ時刻ですけれど・・・

太郎はぐっすり眠っていた

「こら! 先生から電話があったわよ 行ったことにしたからね」

「はい お弁当」

わわわ〜っと自転車に乗っていった

帰宅して言うにみんな叱られたそうだ

太郎だけはなんだか免れて

「気の利く親でいいなあ」




夫の不機嫌には泣きはしないが泣かされた

黙るのだ 最短3日 最長2ヵ月 黙りとおす

私以外の人とは話す 機嫌良く

実に消極的なDVなのだと知った

ここ4年ばかり ぱったり治まった なぜか

彼は孤独を感じたからだ

私はちゃんとお見通しだ

「大丈夫よ 女の最後の仕事はお爺さんを看取ることだからね」

猫なで声で言って聞かせる

仕事のストレス 通勤の疲れ 様々あったことだろう

愚痴も言わない 何も言わない

私は私が何を言いだすか予想がつかない(ことはない)
責めるか? いやそんなことはしないだろう

きっと 優しくなだめ看護するだろう

裏腹に これが夫婦愛というもの






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