子を産む女 生れた子

いわゆる「信じられない事」は昨今始まったことではない
大昔から 太古から ヒトが人になった時からあったに違いない
このような考え とらまえ方は私の芯を揺るがすことではあるが
どれほど揺れようと折れようと事実なのだ
昨日までの「ある種の不安を抱えた日常」が「地獄」になる
母親という女 父親という男 兄弟 姉妹 親類縁者
子供が子供を殺す 良い子だったという評判の子が
「嘘だろう」「信じられない」「何故」ほかいろいろ言われる
「そんなことじゃないかと思っていた」というのは少ないが
報じられないだけだろう


実に印象的で度々思い起こすアニメがある
それはフジテレビ系で放送された
「チルチルミチルの青い鳥」だ
メーテルリンクはベルギーの富裕なフランス語を話す家庭にうまれた
そしてこの作品はノーベル賞をとった
「生と死」を描いた物語だ
チルチルとミチルが「明日うまれる赤ちゃんの国」にいき
自分たちの妹に出会う しかし彼女の持つ袋には「猩紅熱で死ぬ」
その運命が入っているのだ
そしてほかの子たちの袋には「盗人」や「人殺し」が入っている


メーテルリンク伯爵は遺言で
「ドイツと日本で放映してはならない」としていたため
遺族との交渉は困難を極めたとウィキペディアにある
何故なのか東北新社に訊いてみたいと思っている


カリール・ジブランの「預言者」には
「子供はあなたの子供ではない」
「子供は明日の家に住んでいてあなたが訪ねて行くことはできない」
そう書いてある


私は息子たちが小さい頃から考え込むことが多かった
この魔界のようなところに産んでしまってよかったのか
私のような未熟者が母親になってよかったのかと
そしてなによりも不安だった
息子たちが長ずるにつれ怖い目をするようになったことだ
物を見るようなその目を私は恐れた


彼は魔物ではないか そうでないにしろ
自分自身が持つ「魔」を自覚しているから尚更に悲観された


自責など愚かなことだ それと戦っても勝てるわけがない
自らの不安と折り合いをつけることの困難はよくよく知っている


神戸の少年Aの両親が書いた本をやっと読んだ
あのあと頻発したと思われている少年少女の事件
あれ以前にも同じ数はあった筈だ 確実にそうだ
「そうであるはずがない」という前提での捜査なのだから
致し方ない


メーテルリンクは18世紀に生まれた人だ
その人がとうに書き著している






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