物も言いよう

整理整頓ができているのが望ましい
夫は 満点である 
が! その息子は二人ともそれがまったく似なかった
いわゆる雑然 散らかり放題 床には雑誌 ダンベルetc
シーツは曲がってダンダラリン 
なるべく見ないようにしている
クローゼットの上の棚に私のものが置いてあるので
「ちょっと失礼」と入り 必要なものを取り
ざっと見まわした
すると なんとフックを利用して大事な物は それなり分別してある
「案外 整理はしているのね 雑然と見えるけれど」と
すると 言うではないか


「混沌の中の整頓です」


「はぁ そうですか そういうものですか」


息子に伝わったのは奇妙な言葉の使い方 私方だったのだ!
なるほど こういうことか
では物事のとらまえ方はどうだろう 似ているのである そっくり
産んだものよと 今更の感慨を覚えた


子を生すことは学びである 鏡を見るごとき学び
生半なことでは女親は務まらぬ
思えば 遺伝子とは不可思議な形で表れるものである


生まれてから自立するまで感じなかった異なる体臭を初めて嗅いだ日
それはまったき個人としてのしらしめであった


夫の体臭を鼻が感知しないのは 何故か
長いこと一緒に暮らしたからだ そうなのだろう


実に「混沌の中の認識」である





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