台風一過

すごい台風があっという間にいき過ぎて行った
「一天にわかにかき曇り」とは言うが「一天にわかに晴れ上がり」であった
そうすると歩きたくなる
いつもは流れの音だけする鉄格子の暗渠を覗くと キラキラと光る流れ!



        
        


      暗渠にさえ台風一過の光あり  ゑぽむ


心が暗渠のような経験を幾度もしている
世界中が敵になったように絶望もする
しかし こうして光を目の当たりにした



夕方テレビのニュースを見ると各地に被害が出ている
けが人 行方不明者 死者もいる


御岳山は人の出入りを拒んでいる
言ってしまえば「そこに山があるから登った」人々
噴火は地球のいとなみである
たまたま そこに居合わせた不幸
重装備が必要な山でもなかったようだ ハイキングの気分で行ける山
それが 大魔神のごとく表情を変えた



皆が紙一重のところで生きている 生かされている
その薄い紙がどう自分を包んでいるのかは解らない
ただただ日々を迎え送りしつつ生きるのだ


私が生きてきた六十一年 幾度 死の淵に立ったことだろう
人は崖っぷちを歩いているのだ
深い深い淵があることを知らない


ある意味 私は知っている
読書による仮想検証と 病からの死への招待状
出無精が幸いしてか出かけはしなかった


いつの日か それは今日かもしれない 明日かもしれない



              ・


お茶が無くなった 買いにいくと 秋のお茶があった
九月の気候は五月に似ていて 良き茶葉がとれるのだそうだ
その新茶に30グラムの新潟のお米がおまけについていた
いつものお店の笑顔の美しい同年代の方と少しお喋りして
30グラム重くなったバックを肩に店を出た


今朝の新茶が楽しみだ





                ✿