些細なこと

 今年の夏に十年以上お世話になっていたドクターがリタイアされて
 こんなにも依存していたのかと われながら情けない日々を往なした
 実に感謝しつつも辛くて切なくて 空虚感の埋めようもなかった
 患者に寄り添ってくれる医療を実践して下さっていたドクターとの別れ


 紹介状を頂いて訪ねたクリニックではそのドクターは多忙であり
 若い女医さんに診ていただくことになった
 私が話すと、それをカチカチカチカチ・・・・・と
 パソコン画面を見ながらキーボードを打つ
 その音は高く 耳に障り 不安は増幅した
 けれど 仕方がないのだと諦めていた


 通い始めて3か月
 とうとう言ってしまった
「先生 キーボードの音が嫌なのです 打たないでください」
 ドクターは ハッとした顔をなさり手を止めた
 もう ここには来たくない! 決心していた


 その朝 些細なことで夫がやや乱暴なことを言った
 そんなことはどうでもいいのだけれど
「私が悪い」といつも通りに考えて諦めていってらっしゃいと送り出した


 8時15分に「さっきはすみませんでした ごめん」と打った夫のメールは
 夕方5時過ぎに着信した そういうものだ


 ( 些細なことが人を苦しめる 些細なことが人を慰めるように )
 こんな言葉があったなと思い出した 逆だったかな・・・


 誰だって苦しみの大小の塊は持っている
 自力で粉砕しなくちゃ ね!






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