身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ

画廊の田山さんが言った
「振り降ろす太刀の下こそ地獄なれ身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」
私は下の方は知っていましたと答えると
これを知っている方は初めてですと仰る


なんとなく腑に落ちなくて
帰宅して検索したら
「山川の末に流るる像穀も身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」だった
像穀とは とちの実である


一粒の麦もし地に落ちて死なばただ一つにてあるらん
死なば多くの実をなすべし ヨハネ伝より   アンドレ・ジイドだ


「放てば手に満てり」 と 仏教にも云われる


田山さんは大丸の美術部におられたそうで 後銀座で画商になられた
おそらくは商人としての言葉を学んだ方なのだろうと察した


例えば日本刀を所持する者は深い意味で「幸せ販売員」という責務を担う
だから私とは微妙に違った意味で捉えておられたのだろう


本日をもって催事は終わる
15歳目上の田山さんから毎日 実に様々なことをお教えいただき
また画家の裏話をお聞きし 聞かねばよかったわいの箇所もあったが
全部まとめて今のところ混沌としてはいるが
おいおい自分のものとしてゆこう


鎌倉の一等地での催事 出会うことも話すこともなかったであろう
失礼ながら次元の違ったお客様と接する機会を得たことは
私の知識財産となった


いずれの日にかお声がけ頂ける機会を待ちたい
誠にありがとうございました。





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