桂枝雀 バことに面目ない

       


はァー、おらァ、長いこと生きてるとのう、切のうて切のうて


どうにもならん時には、どんな女子でもええけえ


そばにおってもらいたいと思うこともあるのう


いやれ〜、奈良の大仏さんをな、横抱きに抱〜いてよ〜 ( オーウ )


お乳飲ませたおんばさんがどんな大きなおんばさんか


一度対面がしてみ〜たいよ〜 ( オーウ )やれさ〜よいよいよ〜ィ


                         ボーン(鐘)
桂枝雀「三十石 夢の通い路」より 書き抜き


彼の落語を聴くにはYouTubeという良いものがある
でもやっぱり読んでみたくなったのだ
あの方を想い浮かべながら読むからなかなかページがはかどらぬ
小説とはまったくジャンルを異にするものだから当然か


彼が亡くなった時「あぁそうさなあ」とマシューみたいに呟いた
マシューとは赤毛のアン(アニメ)の養父だけれど あの「そうさなぁ」かしら
あの世とこの世の境界線を行ったり来たりなさっていて
ふっとあちらに逝ってしまわれた そんな感じがした
この船頭になりきっての謡いの表情はどうだろう
あだ名はねこさんだったそうだ 猫顔ねってだからねこさんじゃないよ


噺を演ずるに同じということはないから速記者が書きとり
話し合い枝雀さんが「うーん。もひとつでんなあ」と眉をひそめるか
眉を開いて「アーッハッハッハ。しゃれてまんなあ」と喜びなさるか
本にするにはたいへんな時間と手間がかかったことが解説いいわけ
小佐田定雄氏によって書かれていた


     あぁ〜〜〜面白くって切なかった
     昨年末29日の 盗作「猫」を も一回読んで下されませ