電話ボックスの思い出


       


       


景観を損なわないようにと配慮された電話ボックス
使っている人を見ることはあまりないけれど・・・
やがて消えゆく運命なのかと思うが こうしてあった方がいい


電話ボックス 昔々 家からはかけられない心をもって
十円玉をポケットにたくさん入れて そっと夜の電話ボックスに行った
通じて友人の声を聞くや あふれ出る涙
何だったのかなあ なにを言いたくて どんな気持ちを抱えていたのか
カチャンカシャンと落ちていくコイン
あせる気持ち どうしようもなく孤独だったのだと思い出す


自分の気持ちくらいなんとか制御できるふりができるようになったのだ



当時の電話ボックスはクリーム色に赤い丸の開いたドア
窓は小さかったから小部屋のようだった


気づけば ガラスに今の自分が映り込み はっとした





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