吐血のごとく


かんかん照りの日射しの中をダラダラ汗で遠回りで駅ビルまで歩く


ちょっといい按配の運動になる


水分補給は忘れずに ペットボトルにポカリを入れて


喉が渇く前に飲みましょう?・・・って   よくわからないので


まあ 頻繁に一口ずつゴックン またゴックン


いくらなんでも涼みたい  


90円引きのコーヒーチケットが3枚あるのでベッカーズ


「アイスコーヒー下さい」  


あいにく混んでいて 一つ空いているいる席につくや!!!


あぁ  捕まっちまった ちぇっ・・・



        

       吐血するために彼女は待っていた  ゑ


二泊三日のようなバックを持って テーブルの上は乱雑で


「ごめんなさいね 大荷物で」 いいえいいえ かまいませんよ


すると彼女は突然の夕立のように喋り始めた


夫の言葉使いの乱暴を 自身の体の不調を 息子の不実を


あまりに早口なのと言葉を探すための懊悩に


よく聴き取れないところが7割はあって助かった 私


コーヒーにガムシロップを入れるひまさえなくて


話しかけられれば無視はできない


ちゃんと相手の目を見て聴く習慣が悪く出た


聴くに耐えない 彼女の苗字も住所も環境も親類もご近所も


そして名前も 生年月日も なにもかも解ってしまった


そう 忘れてしまえばいいのだ 聞き流せない私も欠陥者


彼女は躁状態であるらしい


お薬を出して飲もうとするのに なかなか口が止まらない


もう心配で「落としちゃうから早く飲みましょうよ」


それだけ言った   


そして「じゃ私は買い物があるのでお先に失礼しますね さようなら」


外に出てホッとした  よくあることだ


疲れてしまった


血を吐くように何かを言いたい人は いっぱいいる


相手を見つけるのがうまい


私は みこまれた   そう 適任者だったのだ


頭の中で警告音が鳴っていた


コーヒー一杯分   25分


こんな日もある  本 読めなかったな 


彼女はホッとしたかしら  だったら良いのだ


ご近所なのに二泊三日分ほどの荷物を持って 


これを持たなきゃ不安なのって・・・


そう ホッとしてくれたなら それでいいの






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