キキの眠り
どこまでが猫か椅子かの境目で 絵ぽむ
捨てられて怯えてさまよっていた仔猫が安心しきって眠っている
ペットショップから連れてきたみけとはまったく違う
それは産まれおちるや遭遇した凄まじい恐怖と飢えであったろう
母猫は自身が生き伸びるために親切そうな人を見定めて
置いて去った
親切な人は見過ごすことができずに動物病院に連れて駆けこんだ
キキは左目が白濁している 失明しそうだったという
ドクターは手を尽して下さった
視力は問題ない 妹のピピを母親のように可愛がっている
私はキキを抱きしめる おとなしくじっとしている
「もうほんとうに安心なのよ 怖いことはないのよ」
仔猫の眠る姿は私自身の安寧である
・