たま江ちゃん

故郷の兄嫁姉さんから封書が届いた


何かしらと開けてみると 新聞の切り抜きが入っていた


それは なんと同級生の「たま江ちゃん」の投稿記事だった


彼女とは高校になって出会い友人になった


東北は色白が多いけれど 彼女は別格だった


まるで白い桃のような肌をしていて 見惚れたっけ


真っ白な絵具に赤をちょっぴり加え 光る産毛でふんわり


私はまあ町場の子であり たま江ちゃんは田園の子であった


「色が白いねぇ」と言うと


「私は井戸水を飲んでるからね EPOMちゃんは水道の水の白さよ」


ちょっと出て来ない返答ではないか 意表をつかれて笑ったっけ


一緒に校則違反の外食をしたこともある セーフだった


太郎を出産した時 たま江ちゃんがお祝いにきてくれた


保母さんになっていたから赤ん坊の抱き方は上手かったなぁ


ところがその時結婚していなかったのに


次に会ったら子連れで、しかも 同学年!?


どう勘定しても合わない


質問は控えたが


まあ そーゆー事もありか  彼女は4人の子を産んだ


そして三世代同居の農家のお嫁さんとして努め


仕事も実によく頑張った



これは義姉さんが送ってくれた「河北新報」の切り抜きだ


たま江ちゃんは「人生最大の悲しみです」と便りをくれたのだったが


見事に乗り切ったのだ


22歳の娘さん 優しすぎる子だった 疲れたのだろう・・・と


これを読んで勇気を 生きる気力を得る方がたくさんいるだろう


私もそのひとりだ


「たま江ちゃんの頬はまだ水蜜桃のよう?」


「なぁにぃ〜 シミしわだらけよぉ」明るい声が響いた






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