初夏なりき懐かしの人想いつつ


        

       この花の翁に逢えぬこの頃ぞ   ゑぽむ


いつもいつもすれ違っていた方が見えなくなって久しい
思い浮かぶ姿は 灰色のジャージ 白いTシャツ 
いつもこの花を右手にもって歩いておられた
日に二回はお見かけしていたが
ぱたりと姿を消してしまった
思い起こせば最初は杖をついていた
ゆっくり歩いていた
それがリハビリだったのだろう
歩く速度はやがて早まって お元気になった様子だったが





         

      オタクサに逢うオランダの夫なりき   ゑぽむ


なんの根拠もないのである 夫婦ではないらしかった
しかし 良いではないか シーボルトの愛人か娼婦か
そんなことより オサクサはお滝さんの呼び名であろうよ
なんのことはない また あぢさいの季節となった






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