歌のよう壁の飾りに塩瀬の帯


       


これは私が縫ったのではない
竹に麻紐を結び イギリスのアンティークのネックレスをアレンジして
壁飾りにしたのが私。
帯はおそらく明治時代のものとのこと
この部分は帯の前にあたる 折るのであるから
見えない裏にもこの可愛らしい子どもの柄がひそやかに遊ぶこととなる
おたいこ部分はどこにあるのだろう
10歳上の友人が古いものを集めては丁寧に洗い縫い仕上げている
眠ったままでは可哀想だからと。


どんな人がこの帯をしめていたのだろうか
職人の腕の奮いよう そして精密で確かな仕事
洋の東西を問わず 手仕事とはすばらしいものだ。


この陰で食うや食わずの人がいて 餓えてはかなくなった多くの民がいる
それを考えつつ こうして飾る 人でなしの私。





               ✿