木に出会う


        

       目が合って話せば解る木の想い  ゑぽむ


ざんざん降りの雨の歩きもいいものである
そのうえ踏切りがカンカンカンカンと長い待ち
ふと視線を感じて振り向けば木の顔が
あら なあに? 呼んだ?・・・
あんたよりもず〜っとず〜っと前から私ゃカンカン聞いてるの
煩いったらありゃしない 仕方ないさね 根っこがあるんだから
地に根を張っているのも不便なことよ
カンカン棒が上がったので
挨拶もしないでとっとと歩きだした
気になる木だった いつでも会えるとはかぎらない
昨今は山だってなくなっちゃうのだから


「山の動く日きたる・・・」と平塚らいてふ女史は書いていたが
あれ?・・・与謝野晶子であったろうか
なんのことはない 簡単になんでも動くようになってしまった
女は蒼白い顔もしてはいない 恥じらうこともない





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