One more time,One more chance

山崎まさよしさんという歌手がいる

夕べ歌謡番組で 大竹しのぶさんと昭和34年の「黄昏のビギン」を

デュエットしていた 

彼の声 彼の顔 いつも想っていた 

18歳の太郎を家から追い出した時    

寝ても覚めても明けても暮れても

「太郎 太郎 太郎 太郎 太郎・・・」

チャイムが鳴ってドアを開ければ そこに立っているのではないか

買いものの道の向こうに 太郎が居るのではないかと

何年も想い続けて 足は地につかず浮遊していた

その頃に 山崎まさよしさんの歌を聴いた



      これ以上何を失えば 心は許されるの

      どれほどの痛みならば もう一度君に会える

      One more time 季節ようつろわないで

      One more time ふざけあった季節よ


      いつでも探しているよ どっかに君の姿を

      明け方の街 桜木町

      こんなとこに来るはずもないのに

      願いがもしも叶うなら 今すぐ君のもとへ

      できないことは もう何もない

      すべてかけて抱きしめてみせるよ


      いつでも探してしまう どっかに君の笑顔を

      急行待ちの 踏切あたり

      こんなとこにいるはずもないのに

      命が繰り返すならば 何度も君のもとへ
 
      欲しいものなど もう何もない

      君のほかに大切なものなど


CDを買って繰り返し聴いては泣いた 泣いた 泣いた

歌で泣いたのは初めてだった

山崎まさよしさんの顔は次郎と似ている

違うところは口元 次郎は口角が上がっている

ギターをもった姿をみて 懐かしい気持ちでいっぱいになった


どれほどの力を尽して子を育てたことだろう

それは一生続くのだ 子を生した痛みとともに

シンパシーではない シンクロなのだ!



       One more time, One more chance






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