宮尾登美子さん

宮尾登美子さんが亡くなっておられたことを知ってショックでした
初めて出会ったのは朝日新聞連載の「きのね」
歌舞伎界のことが描かれていて
女の心模様が 刃物のような煌りとおののきで毎朝
実は怖くてたまらなかったのです しかし惹かれました


そして宮尾文学にとっぷり浸かりむさぼるように読んだのでした
どれもこれもが印象的に心に残っています


ある時 今お仕事をしているギャラリーにふらりと入りました
ひとつの画に目が釘付けになりました
大畑稔浩さんの「キレンゲショウマ」 高山植物絶滅危惧種です
それこそが 宮尾さんの「天涯の花」の挿絵であったのでした


小さな画です 茶室用に描かれたのだそうです
初めて欲しいと思いました 連れて帰らねば悔いる
私にも買える値段でした 銀行に行ってきますからと走りました


それが画商の田山さんとの出会いだったのです
その後偶然ある展示場でふすまほどの大きさの画家の作品に見惚れていたら
なんとその筆のタッチに覚えがあります 大畑さんでした
そして「この方の小さな画をもっています」と言うと
「あぁ!あなたでしたか 
    どなたのところに行ったのかと気にかかっていたのです」
寡作な画家で もう小さな作品は描かないのだそうです
私は実に奇遇な出会いをしたわけです


花びらに血管のように命が透けて見えます
ずいぶん有名になられて高騰しているのだと伺いましたが
それはその世界のことであり 私のあずかり知らぬこと
傍にきてくれてありがとうと画に語り掛けます


このたびのギャラリーのお手伝いは
この画を望んだ目をかわれてのことなのだそうです 不思議です
私は小説が好きで どんな花かと夢見た その夢がここにあるのです




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色紙 30代の梅澤千絵子さんの「思い出」という作品 色紙代ほど
額にいれる余裕がない若い方たちの習作 素晴らしい上手さ巧みさです



「麗子像の雰囲気がありますね」この子も連れ帰りました
これからどれほど腕を上げていかれるのでしょう
ほんとうに楽しみな方です






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