足音だけで

 ほぼ毎日外を歩く習慣だ 買い物 本屋さん

 近くのスーパーでも遠回りで距離をのばす

 そして帰宅

 みけが玄関で待っている

 今しがた走ってきたのではなく

 しばし前から座っていたふう

 エレベーターを降りて歩き始めた足音を聞きつけるのだろうか

 愛おしくて「みけちゃん お母さんを待ってたの?」と

 その都度なでてやる

 少し離れてピピもいる「あたしも待ってたのよ」という目をして

 こういうことはよくあることみたいだけれど

 ほんとにうれしい 可愛らしくて

 買い物したものを冷蔵庫に入れるのを忘れるほどだ

 ほんのたまに夕方に帰宅すると

 途方にくれたように暗い廊下で目を光らせている

 玄関の灯りだけはつけていくのだけれど淋しかったんだな

 心配してくれたんだなと 中学生の息子たちを思い出す

 子供も猫も同じにおいて

 私の歳を追い越していくだろう猫たちと子の成長を重ねる

 もう何も心配はない 親に出来ることは祈ることだけ

 足音だけでお母さんだ!と彼等もわかったのだったもの

 幸せこの上ない時代を猫さんにもらっている

 ありがとう




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