哀歌上・下

絶え間なく本を欲する者である

きちんと椅子に掛けて正しい姿勢で読む

ここに私はたびたび本を読んだことを記録する

すると誰彼が「おや!」と手に取って下さるようである

一人占めしたくなるような本もあり・・・黙っていることもあり

恋しい男は誰なのか人に知られたくはない が 吹聴したいの二心

読み返し 繰り返し やがて終わりがくる 幾度も終わりがくる

始まりは常に終わりに向かっている

私が思い描いたように いえ そうではなく・・・

曽野綾子さんの作品はどれも諦観に満ちていて 悲しみに満ちていて

猫を猫かわいがりしている夫婦の悲哀をなだめてくれる

人生には辛いことがずっと寄り添っていて心を震わせてくれる

そのことを教え納得させてくれる

今 自由のない君に

今 健やかでない友に

今 孤独なあなたに

今 すべてが思うようにならない君達に

今 命をかけて子を欲している娘に

この「哀歌」を贈りたい

読み進み 読み終えることができるだろうか

途中で投げ出してもかまわない

とにかく読み始めてみてほしい





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